SSブログ

「野良犬」と 勤労感謝の日 [日誌]

前回、黒澤明監督作品「野良犬」について触れましたが
初めて観たのは、大学生の頃、レンタルビデオでした。
一人暮らしを初めて2年目くらいに、駅前に新しいレンタルビデオ店が開店しました。
そこは、他の店よりも昔の名作を数多く取り揃えてくれてたので
黒澤映画を大量に観ることができました。

eiga_kantoku.png

「用心棒」「椿三十郎」の面白さにヤラれて
次から次へ見たわけですが、特に「野良犬」に心奪われました。
冒頭のスリを追跡するシークエンスから
闇市、野球場、ダンスホールと舞台を移しながら、
追いかける刑事の苦悩する様や、まだ見ぬ犯人の人間像を浮き彫りにしていく様は
心に迫るものがあります。

このスケール感で、エンターテイメント性と、人間性を描くことが
絶妙に混ざり合ってるなんて…!
しかも、この映画は白黒映画で、戦後間もなくの作品だなんて…!と、
当時、大学生だった私は、単純に「スゲェ!」と驚いたものでした。

刑事ものとしてのお手本中のお手本。
それだけでなく、脚本作りの視点から見ても、お手本中のお手本だと思います。
いつか、機会があれば、プロット分析したものを、記事にアップしたいので
気長にお待ちください。

確か、以前にも別の作品のプロット分析についても記事にしたいとか書いてましたね。
それも含めて、気長にお待ち下さい。

そんなこんなで、かなりの数の黒澤映画を観た訳ですが
いいな、と思う作品の多くは、理性の大切さを説いていることに気づきます。
丁度、大学では倫理学を履修していて、
人間には何が必要かということをあれこれ考えていた時期でした。
figure_question.png

教授は、エゴイズムは虚無主義に繋がるものだと説いていました。
虚無主義に対抗するには何が有効なのかと、真面目に考えましたが
なかなか答えは得られず、大学を卒業しても、かなり長い間の課題となっていました。

大学は横浜の鶴見というところにありまして、
鶴見では「野良犬」もロケをしたところがあるんですよね。
JR鶴見線の国道駅なんですけど、どこに写ってるんだよと思って
何度も見ましたが、よく分からない。
たぶん、拳銃ブローカーに声をかけてもらおうと街をフラつく場面だと思います。

実は、鶴見の国道駅がロケ地だというのは、後で知りました。
ある仕事で、戦後まもなくを舞台にした映画の企画がありまして
終戦直後の地図や建物を調べてる時に、当時の雰囲気を残す場所ということで
国道駅を知った訳です。

結局、その映画は、いろいろな事情で頓挫してしまいましたが
その時に調べた様々なことは、貴重な財産となる、はずです。
いつかどこかで役に立つ。きっと。
がっかりした中でも、嬉しかったのは
優しいプロデューサーが企画開発費という名目でギャラを払ってくれたことです。
その時、この世に企画開発費という言葉があるのを初めて知りました。

なにかと世知辛いご時世ですので
企画開発費という名目では中々、ギャラをもらえない時代ですが
ただ待っていても、どうにもこうにもなりませんので
今日も今日とて、企画書だのプロットだの書いてます。
何かの時には思い出してね、という名刺代わりです。
そして勿論、その企画書なりプロットなりシナリオが、そのまま企画会議を通るのが
一番の目標です。

今日は、勤労感謝の日。
働けることに感謝して、お仕事してます。
願わくば、今のお仕事が、いろんなことに繋がりますように。

私は仕事をしてますが、
みなさんはどんな風にお過ごしでしょうか。

ボジョレー・ヌーボーも解禁されましたし
ワインを飲んで、のんびりするのもいいかもしれません。
そんな時には、クスクス笑えて、人生のほろ苦さをワインと共に飲み干すような
こちらの映画を観ながら過ごすのは如何でしょうか。

sideways09.jpg

「サイドウェイズ」
iTunes にて 400円でレンタルして観れますので、お気軽にどうぞ。

Amazon Videoでも観られるようになりました。
こちらからどうぞ→AmazonVideo「サイドウェイズ」

《追記》U-NEXTでも観られるようになりました。ありがたいです。
    こちらからどうぞ → U-NEXT「サイドウェイズ」

毎年ボジョレー・ヌーボー時期恒例の宣伝でしめてみました。


nice!(12) 
共通テーマ:映画

nice! 12