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キャラ先・スジ先 と ひと区切り [日誌]

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前回まで3回に渡り
「キャラ先・スジ先」について書いてきました。

――自分なりに書きあげた脚本が数本あるけど
執筆工程中、何となく上手くいかないなと思ったり
完成した脚本も、どこかいびつだなと感じていて
だけど、一体、何が足りないのかわからない――
そんな時は、自分が「キャラ先」なのか「スジ先」なのか
俯瞰で見てみるといいかもしれません。

キャラ造形からアプローチして脚本作りをしてるなら
プロット構成をざっくりでいいから練ってみる。
逆にプロット構成からアプローチして脚本作りをしてるなら
キャラ造形にもっと時間を割いてみる。
コツは ”ちょっとずつ” です。
まだ初心者段階なのに、いきなり
キャラもプロットもどっちも完璧に練ってから書く!
と勢い込んでしまうと
練りに練ったキャラとプロットゆえに
シナリオに起こす技量が追いつかずに完成を断念するか
いつまで経っても書き始めることができなくなるか
どっちにしろ、そんな初心者あるあるに陥ってしまいます。

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ならば、まずは自分の立ち位置を見極めて
そこから足りないところを少しずつ補完するようにすれば
比較的スムーズに上手くなっていくと思います。

(もちろんキャラ先・スジ先を極める方向で
 脚本作りをしていくのもありだと思います。
 極めていく行程のなかで、キャラ先の人が
 自分なりのプロット構成の法則を見つけることも
 あるでしょうし、スジ先の人が各キャラを引き立たせる技術
 を確立することもあるでしょう)

で、そんな
キャラ先+プロット(仮) あるいは
スジ先+キャラ(仮) というアプローチを使っていくと
どうなるかというと
城戸賞で準入賞を果たせるぐらいにはなれます。
こんな感じの作品です――「ハムラビ」第39回城戸賞 準入賞

なんだよ「準」かよ!入選じゃねーのかよ
入選してから偉そうなこと言えよ!

という声が聞こえてきそうですが
私は心に棚があるので
そういう声はそこに一旦、置いときます。
これがベストな方法だというわけじゃなくて
こういう方法もあるから、興味あったら試してみてね
というスタンスです。

いやはや、それにしても早いもので
準入賞してからすでに6年が経ちました。
その時、副賞として腕時計をもらったんですが
今にして思うと
受賞効能には賞味期限があるので時間を大切にしろ
ということなんでしょうね。
その頂いた腕時計は3年前には電池が切れて
動かなくなってます。

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そんなこんなで、腕時計の電池が切れた頃
そろそろ店じまいの潮時なのでは
と一瞬思ったりもしたんですが
どうせ店をたたむなら
心残りないように書いてからだな
と思ってました。
幸いにして、腕時計の電池が切れたあとも
お仕事のお話は来ていたので
今までやってこれた訳ですが
ここ1、2年、いろいろあったりなかったりの中
ちょっとこれ厳しいなと感じるアレコレがあり
一回、リセットするためにも
今までのなんやかんやを盛り込み
個人的思い入れを前面に出した脚本を書くことにしました。

これで最後になるかもしれないし
ここからまた始まるかもしれない
とにかく、これを書いておかないと
どっちにも進めない
そう思って
プロットライターや企画書作成など引き受けず
脚本執筆に集中しました。

3ヶ月後、完成した脚本を城戸賞に応募しました。
前回、準入賞した時はリライトを数回重ねましたが
今回は思い入れ前面の作品なので、リライトなしです。
荒削りのまま応募してしまいましたが
それで良かったと思ってます。
この脚本をリライトしてブラッシュアップしたり
応募せずに大切にしまっておいたりしたら
書いた意味がなくなってしまう。
むきだしのまま応募してこそ完結する
そう思ったんです。

ここ数年抱え込んでた色んなものを
きちんと言葉にしてみないと
どもこもならん。
そういった思いやらなんやらに
きちんと一回さよならしとかないといけない。
やめるにしろ、続けるにしろ
とにかく脚本として形にしとかないと
次にいけない、前に進めない
そう感じました。
なので、題名は「さよならの風景」
登場人物たちそれぞれの、さよならの風景を描いた作品です。

そして先日、城戸賞の選考結果が発表されました。
入選は該当作なしでした。準入賞・佳作の中に私の名前はなく
私の「さよならの風景」は二次審査通過で終了してました。

実は、がっかりするよりも
よくぞ、この作品を二次審査まで通過させてくれたなぁ
という感想の方が大きかったです。

もし、一次審査すら通っていなかったり
逆に入選を果たしていたりしたら
もう店じまいすることにしたかもしれません。

個人的な思い入れだけで書いた作品なので
全く評価されない可能性高いだろうなと思いつつも
応募してこそ完結する作品なので、応募しました。
すると、確かに入賞するような作品ではないんだけれど
何かを感じてくれた選者の方たちがいて
二次審査まで通過させてくれました。
感謝してます。

出来不出来、採用不採用は度外視して
これだけは言いたいんだ!というのは
脚本に込めると、誰かに伝わるものだなぁ
と、実感しました。

結果、なんだか少し前向きな気持ちを取り戻しました。
これでおしまいになるかも、と思ってたんですが
まだどうしても書いておきたいやつが残ってますし
なによりまだまだ全力を出し切ってないことに気づきました。
まだ真っ白な灰になってないんだよ、おっつぁん。

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それに、まだお声がかかってるうちは店じまいできません。
お仕事で声をかけてもらえるのは、ありがたいですね。
もっと感謝したいので
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そんなこんなの「さよならの風景」という作品ですが
せっかくなので「 film buyer 」というサイトに投稿しましたので
興味のある方は読んでみてください
――「film buyer」さよならの風景

二次審査通過作品の20本のうちのひとつです。
自分のと比べてみて、いま自分のスキルがどの辺なのか測ってみるのに
いいかもしれません。

読んでいただけるとわかると思いますが
設定や題材などが、さすがにこれを最終候補作に残さないだろうな
という作品なので、二次審査止まりで納得です。
読む人が読んだら、怒り出すんじゃないか
というセリフもありますし
脚本家目指す人たちが応募してくる場なのに
こんなちゃぶ台ひっくり返すようなやつダメだろ
と突っ込まれておしまいかもなぁ、と思ってました。
それでも、底にある何かを汲み取ってくれた人が
二次審査まで通してくれたんでしょうね。
先ほども書きましたが、感謝してます。
ありがとうございます。

たぶん1月中には、城戸賞のホームページで
最終候補作品をPDFで公開すると思いますので
それらの作品と読み比べてみるのもいいんじゃないでしょうか。
最終候補に残るには、何が足りなくて何が過剰だったのか
読み比べて、自分なりに研究するにはいい教材だと思います。

思い入れを前面に出すと心に決めて
思いのままに書き散らしても矩を超えず
さほど破綻せずに脚本としての体裁を保つことができたのは
今まで培ってきたシナリオ作法が身についていたからです。
なので、前回まで3回に渡りお伝えしたシナリオ作法についても
ある程度の効力がある、と実証できてるんじゃないでしょうか。

まだ初心者の方で、ちょっと迷ってる悩んでるという人は
キャラ先・スジ先+(仮)システムアプローチを試してみるのも
いいかもしれませんよ。

もちろん、
そんなのは関係ないんじゃ!好きに書くわい!という
頼もしい人も私は大好きです。

シナリオ界隈が盛り上がるったらいいな
そんな風に思ってます。

それはそうと
城戸賞の選考結果発表を見たら
懐かしい名前をお見かけしました。
林田麻美さん。(関連記事)
第39回の城戸賞で最終候補に残り
その後、佳作、準入賞と積み重ねてきた実力者です。
受賞パーティや、交流会でご一緒したことがありますが
とても聡明な方という印象でした。
そんな彼女は、今回も最終候補に残っておりました。
今度こそ入選を果たすんじゃないか、と思ってましたが
残念ながら、入選ならず。
それでも佳作を獲得しておりました。
すごいです。

でも本人は入選狙ってるわけですからね
……悔しかったんじゃないでしょうか。
力のある人ですから、いつか、入選するんじゃないかと思ってます
林田さんが何年にも渡り応募し続け
クオリティも高いものを描き続けているのをみると
自分も頑張らねば、と思わせてくれます。

新しい才能を見つけるという目的の他に
「映画化可能なオリジナル脚本の発掘の場」
という側面が、城戸賞にはあるんだと勝手に思ってます。
なので、私も良いモチーフが見つかったらまた応募しようと思います。

とにもかくにも
自分的にひと区切りついたので
また新たな気持ちで頑張っていこうと思います。

では、また


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