すみつぼ と 遠回り

前回、祖父と父が大工の棟梁をしていたと書きましたが、
その関係で、大工道具に触れる事が日常的にありました。

ドラマ「しゃばけ」の時に、
重要なアイテムとして「すみつぼ」が出て来るんですけど
大工道具なんですね。
こういう奴です。

で、大工の棟梁の息子である私は
「すみつぼ」に幼い頃から親しんでおりまして
「しゃばけ」の脚本を書くために原作を読んでいた時に
あら、なんだか、こんな所に繋がってたか
と、思いました。

脚本を書いてますと、色んな事が、思いがけない所で繋がってきて
あぁ、無駄な事が無いなぁと実感します。
何年も前に、ひどく辛い経験をしたとしても
それが今の脚本作りに役立ってる事とか、沢山あります。

もちろん、その時は、ひどく辛くて
どうにもこうにも消化できないんですが
やがて立ち直り、あるいは時が癒してくれて
自分の中の記憶の引き出しに入って
しばし経った頃に
ふと、脚本作成の際に、役立ってくれます
辛いことも悲しいことも楽しいことも嬉しいことも
全て役立ってくれるので
なんだか、お得だなぁ、と思ったりします。
悔しさに歯噛みすることも、理不尽な扱いに怒りを燃やしたことも
誰かのきらびやかな活躍にジリジリと胸を焦がすことも
何をするでもなく無為に日々を過ごすことさえも
いつか、役立ってくれるのです。

なので、皆も頑張ろうよ！
…てなことは、１ミリも思いませんが
いろいろ経験しておくと面白いもんだなと、ようやく思い始めた所です。

もう少し早く気づいてればなぁ、とも思いますが
それはそれ。
遠回りという経験も、いいんじゃないかな、と思ったりします。

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